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CircleがVisa、Mastercard、BlackRockをArcのバリデータに:USDTカード保有者が見るべき3つのポイント

2026-08-06

Decryptの報道によると、CircleはVisa、Mastercard、BlackRockを、自社開発のLayer-1ネットワークArcのバリデータに加えた。Arcは9月のメインネットローンチを予定している。報道では、Arcテストネットの累計処理件数が約5億件であること、CircleとCoinbaseのUSDC配信契約が現行条件で更新されたことにも触れている。

先にお断りしておく。上記の数字と顔ぶれはいずれもDecryptの報道に基づくものである。usdtcard.netは独立したオンチェーンテストを行っておらず、テストネットの取引量やバリデータの最終的な正式リストをCircle公式チャネルで一件ずつ照合したわけでもない。9月のローンチ時にCircle公式ブログで公開される発表を基準としてほしい。正式発表のバリデータリストが報道と異なる場合は、公式の内容が優先される。

編集部の見方:この報道は手元のカードに何を意味するか

結論から言うと、これはUSDC側の決済インフラに関する動きであり、USDT側の話ではない。短期的には、USDTカードのチャージ方法、決済方法、手数料は一切変わらない。

本当に読むべき点は「誰がバリデータになるのか」だ。VisaとMastercardが、ステーブルコインの決済チェーンでそろってバリデータの立場に就く。これは、カードブランドが末端でカード決済を受け付けるだけの存在ではなく、オンチェーンの清算レイヤーの運営に直接関わり始めたことを意味する。USDTカード業界にとっての長期的な含意は、「オンチェーンのステーブルコイン → カードブランドによる清算」という経路が将来圧縮される可能性があり、間に入るサードパーティの決済事業者の交渉余地が小さくなることだ。

利用者のタイプ別に、直接の影響を整理する。

時間軸ごとの見通しは次のとおり。7日以内:変化はなく、ウォレットを確認し直す必要もない。30日以内:9月のメインネットが予定どおり立ち上がるか、正式なバリデータリストが報道と一致するかに注目する。90日以内:カード発行会社がArcネットワーク経由のUSDCチャージを新たに発表するか、USDTチャージが着金速度や手数料の面で相対的に「格下げ」されないかに注目する。

過去との比較:2023年・2024年との共通点と相違点

最初の参照点は、2023年3月のUSDCデペッグだ。当時Circleは、約33億ドルの準備金がシリコンバレー銀行に預けられていると開示し、USDCの二次市場価格は一時0.90ドルを割り込んだ。この件の教訓は、準備金を預ける銀行はオフチェーンの単一障害点であり、オンチェーンがどれだけ高速でも救えないということだ。Arcのような自社開発チェーンが解決するのは清算の効率であり、準備金の保管の問題ではない。両者を混同しないようにしたい。

2つ目の参照点は、2023年8月のCentreコンソーシアム解散である。Circleははその際、USDCの発行ガバナンス権を取り戻し、Coinbaseは Circleの株式を保有する立場に移りつつ、配信関係を維持した。今回の「配信契約を従来条件で更新」は、この体制変更の延長線上にある。CoinbaseはいまもUSDCにとって最も重要な配信・還元の窓口であり、Coinbase Cardの還元ポリシーが一貫してUSDCと深く結びついているのもそのためだ。

3つ目の参照点は、MiCARのタイムラインだ。ステーブルコイン(ART/EMT)に関するEUのMiCAR規定は2024年6月30日から適用されている。CircleはEUの規制上の資格を早くから取得した。一方、USDTは同じ枠組みでの認可を得られず、EUの複数の取引所が2024年末前後に関連する取引ペアを調整した。共通点は、Circleが一貫して「先にコンプライアンス、次に拡大」を選んでいることだ。異なるのは、今回はそのコンプライアンスという資本を製品にした点にある。Visa、Mastercard、BlackRockのような規制下の機関をバリデータノードに直接招くことは、本質的に、技術の物語を機関による裏付けで置き換える動きである。

コンプライアンス上の境界:USDCとUSDTの分岐は広がりつつある

EUの利用者にとって、この報道は2年前から存在する事実を補強するものだ。EU向けUSDTカードコンプライアンスガイドがカバーする管轄では、USDCのコンプライアンス上の確実性がUSDTを上回る。これは道徳的な判断ではなく、認可状況の違いである。USDTカードをEUで使うこと自体は違法ではない。ただ、カード発行会社が選ぶ上流の決済通貨は、今後もUSDCへ傾いていくだろう。

米国の利用者は、米国のUSDTカードコンプライアンス現状と併せて読んでほしい。カードブランド自らがバリデータとして参加する事実は、「規制下の機関が公開チェーンの清算に関与すること」への米国の規制環境の許容度が、2022年よりかなり高まったことを示している。グレーゾーンはステーブルコインの保有にあるのではなく、越境でカードを発行する主体の所在地資格にある。この点はArcのローンチでは変わらない。

USDTカードの決済経路がどうなっているのか分からない読者は、まずUSDTカードとはで基本概念を整理してから、この記事に戻ってほしい。

今後注目すべき4つのポイント

  1. 9月のArcメインネットローンチ日:バリデータの最終リストがDecryptの報道と一致するか、VisaとMastercardがどの法人としてバリデータに参加するか。
  2. Circleの次四半期決算:上場企業(NYSE: CRCL)として、USDCの流通量と配信コストは公開データになる。どのメディアの報道よりも信頼できる。
  3. カード発行会社のチャージ画面のチェーン一覧:Arcの選択肢が現れるか、USDT系チェーンの手数料率が同時に調整されるか。
  4. USDT側の対抗措置:2025年以降、USDTを中心とする決済チェーンの構想が出てきている。9月前後にTether側から対応する発表があれば、それこそがUSDTカード利用者に実際に影響する情報になる。

編集部の提案

MPCardやBybit CardなどのUSDTカードを保有している人:操作は不要。 この報道を理由にUSDTをUSDCへ交換しないこと。交換時の為替差損とオンチェーン手数料は確実に発生するが、Arcがもたらす手数料面の恩恵は現時点では不確実である。

Coinbase Cardを保有している人: 配信契約の更新は、現在の還元の仕組みが短期的に安定していることを意味する。こちらも調整は不要だ。30日以内にCoinbase公式ブログで還元ポリシーの変更が発表された場合に、改めて見直せばよい。

新規にカードを申し込む予定の人:「将来Arcに対応するかもしれない」ことを理由に判断を先送りする必要はない。メインネットはまだ稼働しておらず、カード発行会社の対応にも少なくとも1四半期はかかる。現在の実際のニーズに合わせて選べばよい。主な用途がサブスクリプションの自動課金なら、新しいチェーンを追いかけるより、ChatGPT Plusの課金シナリオのカード選びの考え方のほうが役に立つ。

すべての利用者へ: この報道は、操作を促すシグナルではなく、方向性を示すシグナルとして受け取ってほしい。ステーブルコインの清算レイヤーは、カードブランドと資産運用大手に取り込まれつつある。この過程は数年続くもので、9月のある日にウォレットの残高が変わるようなことはない。