USDTカードでユーロ建ての決済をした後、明細を見て換算後のドル金額が決済当時Googleが表示していた値より1-3%多いことに気づいても、これは正常な現象であり、発行会社がこっそり多く取っているわけではありません。この差額は重なり合う2つの工程から生じます。カードブランドの卸売レートはそもそも中間値ではなく、さらに発行会社がその上に別のマークアップを乗せているのです。この2層構造を理解すれば、自分が使っているカードが「業界の正常範囲」なのか「明らかに割高」なのか判断できるようになります。
なぜGoogleの数字が一番お得に見えるのか
Google、XE、Wiseのトップページに表示されるのは、いずれもmid-market rate(中間値レート)、つまり銀行間外国為替市場における買値と売値の中間値です。これは誰も直接取引できない参照レートであり、卸売市場にのみ存在するものです。小売ユーザー(あなたのカード発行会社を含む)がこのレートを手にすることは決してありません。Googleの数字を基準として見る分には問題ありませんが、「本来自分が得られるはずのレート」だと考えるのは誤りです。
実際の決済レートは2層の積み重ねで決まる
USDTカードで外貨決済をした場合、金額の換算経路は次のようになります。
- カードブランド層:VisaまたはMastercardが自社の卸売レートを使って元の通貨をカードの決済通貨(通常はUSD)に換算します。このレートは営業日ごとに更新され、公開されており誰でも確認できます(Visa計算ツール / Mastercard計算ツール)。中間値よりわずかに不利で、差幅はおよそ0.2-0.5%です。
- 発行会社層:発行会社はカードブランドのレートの上に、さらにFXマークアップを上乗せします。通常1-2%です。この層は発行会社の利益であり、各カードの料金ページに明記されています。
この2層を積み重ねた結果、最終的な明細金額がGoogleの中間値より**1-3%**不利になるのは業界の正常範囲です。もし4%以上の差になっている場合は要注意です——発行会社の上乗せが過大であるか、明細に別の費用(越境手数料、動的通貨換算DCCなど)が混入している可能性があります。
自分で検証する方法
自分がどれだけFXマークアップを取られているかを確認するには、次の3ステップで十分です。
- 明細からこの取引の取引日、元の通貨での金額、決済後のUSD金額を探します。
- VisaまたはMastercardの公式計算ツールにこの3項目を入力し、「純粋なカードブランドレートであればいくらのUSDになるはずか」を算出します。
- 明細の実際の金額を計算ツールの結果で割り、1を引くと、それが発行会社のFXマークアップです。
例を挙げると、100ユーロ決済して明細では110 USDTが引き落とされていたとします。Visa計算ツールで同日同金額を計算すると108 USDだったとすれば、発行会社のマークアップは(110/108 - 1) ≈ 1.85%となります。これは主要なUSDTカードの多くが公開している1-2%と一致します。
どのカードのマークアップが低いか
各カードのFXマークアップは公開されており、直接比較できます。2026年低手数料USDTカードランキングをまとめていますが、編集部厳選のMPCard Asia Eliteはアジア太平洋圏でよく使われる通貨(JPY、KRW、SGD、HKD)でのマークアップが比較的抑えられており、Bybit CardやRedotPayも欧米ユーザーが比較検討する際の定番の選択肢です。具体的な数字は発行会社の公式料金ページを基準としてください。通貨ごとに異なる場合もあります。
編集部からのアドバイス
推奨すること:明細のFXマークアップを明確なコストとして捉え、自分がよく使う通貨に合わせてカードを選びましょう。年間で高頻度に500 USDT相当を利用する場合、1%と2%のマークアップの差は5 USDTになります。 避けるべきこと:POS端末やウェブサイトの決済時に「自国通貨で決済する」(DCC:動的通貨換算)を選ばないでください。この層のマークアップはしばしば5-7%に達し、カード本体のFXよりはるかに割高です。加盟店には現地通貨で決済させ、換算はあなたのカード側に任せる方が、ほぼ常にお得です。自分のカードの料金構造がよく分からない場合は、まずUカードとは何かの基礎解説をご覧ください。